鹿児島大学法文学部「地域コミュニティ論」でゲスト講演、活動内容と経緯をお話しました。

2023/05/21

鹿児島大学「地域コミュニティ論」でゲスト講演

オトナキ代表の水嶋です。

5月10日、鹿児島大学法文学部の日高優介先生にお声がけいただき、同大学の「地域コミュニティ論」という講義で登壇させていただきました。といっても、沖永良部島からだと、同じ県内でも気軽に行ける距離ではないので(直線距離で500キロくらい!)、オンラインという形です。お相手はもちろん学生のみなさん。

これまでの人生で、もっともデカく顔が投影された日でした。

デカおじ!…で、講義では、私が沖永良部島に移住した経緯や、現在島で行っている取り組みについてお話しさせていただきました。

近況についてはまた時期を見て、こちら(このサイト)にも書きたいと思います。本当は早く書きたいんですが、最近はいろいろと変化が激しいので、いったん落ち着く頃まで待っています。島に来た経緯については下記の記事に詳しい&何なら動画まであるので、気になる方はご覧いただけるとうれしいです。

COMIGRAM開発の経緯や想いをトークショー・ガシドで話してきました

この講座の講師である日高先生は、同学部の「鹿児島の近現代」教育研究センターというプロジェクトで沖永良部島によく来られる中で、すでにお知り合いだった県内のフィリピン人コミュニティの研究などをされている西村知教授からご紹介いただきまして。日高先生も、西村先生も、私が興味津々のまさにど真ん中の分野を研究されているので、日々刺激を受けています。このプロジェクト自体が、沖永良部島の歴史や偉人、また資源の活用などを研究していて、めちゃくちゃおもしろいんですよね。というより、その西村知先生が、副センター長になります。

下記、ホームページにある説明の引用です。

本センターは、旧藩の時代から明治・大正・昭和に至る近代化に関する歴史的遺産、地域的特徴のある文化、世界に誇れる自然環境など、鹿児島の地域資源を用いた教育研究活動を推進し、その成果を社会実装や地域イノベーション創出の形で地域に還元します。(『鹿児島大学法文学部附属 「鹿児島の近現代」教育研究センター』より)

 

講義でお話したのはこんなこと

さて、それで講義ではどんな話をさせていただいたのかというと、この準備にあたり作成して、そのまま発表資料にしたメモ書きを公開しておきます。だいたい、スライド資料ではなくこういうメモほど情報が詰まってたりするよね。一般的に。

 

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私と沖永良部島(おきのえらぶじま)の紹介

・ネルソン水嶋(合同会社オトナキ代表)と申します
・3年前から沖永良部島(えらぶ)に住んでいる
・沖永良部島は1.2万人くらいの有人島では真ん中くらいの規模
・和泊町と知名町。イメージは、ゆり、洞窟、サトウキビ、ジャガイモ。
・西郷さんの島流し先、2年いた。その世話人と弟子がそれぞれ初代戸長(町長)に。

▲沖永良部島のユリ畑

私が沖永良部島に住むまでの経緯

・さかのぼること10年前…
・ベトナムでブロガーをやっていた
・ドリアンマン、ダチョウに乗る、ドナルド姿になってマクドナルドへ、など…8年。
・ニュース記事(2018年11月)で沖永良部島の実習生失踪事件について知る
・母の故郷で、友人の友人が移住したこともあり興味もあり、島に2ヶ月滞在。
・「事件」をきっかけに交流の動きがあり、現地で参加。縁を感じてほぼ半年後に移住。

▲ブログ企画「ドリアンを装備したら人気者になった話」

沖永良部島の外国人と日本人(島民と移住者)

・沖永良部島の外国人人口比率は奄美群島でもっとも高い
・1.4%(和泊町は1.7%くらい)で、県平均の倍近く。
・和泊町は農業で働く技能実習生や特定技能が多い(製造業と介護業も少し)
→ベトナムとインドネシアで8~9割、中国とフィリピンとネパールで1~2割。
・知名町は20~30年前に興行ビザで飲み屋で働き、島の人と結婚した人が多い。
→ほぼフィリピン
・あとは、移住者夫婦(どちらかは日本人)、ALT(学校の英語教師)。
→アメリカ、トルコ、韓国
・島の外国人像は、20年前が飲み屋のお姉さん、10年前から出稼ぎ労働者+国籍の変化。
・失踪のほか、日常生活でも立場、文化や価値観の違いから起こる問題は多い。
→ゴミ出し、騒音問題、自転車の飲酒運転、スーパーへの移動手段など
・失踪回避も含め、島に住む外国人に「労働者以外の顔」=関係性を増やすことが大切。
・この3年でも変化を感じる。国籍(国民性)の変化か、在留資格の変化=経済的余裕か、
島の飲食店へ積極的に行く外国人も増え、日本人も移住者を中心に交流が増えている。
→島外者の移住や世代交代によって、島民の価値観に変化が起こっている。
・移住直後の取り組みは、「交流のきっかけになるTシャツ」制作。
→島外の日本語教室などには良い反応だったが、島内の事業者ではミスマッチ??
・今の取り組みは、プライベートでは遊びを通して日本人や先輩外国人をつないだり、
仕事では行政と連携して生活情報冊子を制作したり
・親子向け多文化理解プログラムを作成したり。

▲技能実習生と島民(日本人)の交流会

 

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ただ、自分が思っていた以上に教室が縦長だったそうで、このメモは字が小さすぎて後ろの学生の方は見えなかったとかなんとか。あちゃーやっぱりスライド資料は必要だなーと思っていると、後に学生から感想が送られてくると聞いてボコボコにされることを覚悟していたのですが、そこはさすが鹿児島大学の学生のみなさん、ほぼ口頭だけでもシッカリとお聞きいただけたようで感服でした。優秀だわ!

 

学生の感想と私が思ったこと

自己整理も兼ねて、SNSの方に、感想の一部を要約して、さらに私の感想を書きました。そちらを転載しておきます。つぶやきみたいなものですが。

 

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学生の感想:
→「ベトナムや沖永良部島など色んなところに住んできたネルソンさんだからこそ、地域で外国人の方が安心していられる場所を作ろうとしているのかと思った」

私の感想:
→確かに。自分が安心したい裏返しなのかもしれない。というより、島で知り合った友人たちの田舎にいつか必ず行きたい!メリット!

学生の感想:
→「給料を高くするのが一番で、コミュニケーションで解決するのか疑問」

私の感想:
→そりゃそうだ。本質は出稼ぎなのだからお金が一番だ。でもそれは雇用主の選択で、コミュニケーションが二番三番ならやる価値は大いにあると思う。

学生の感想:
→「コミュニケーションで(失踪などの背景が)解決するのは次の世代だと思う」

私の感想:
→完全にそうとは思わないけど(思いたくないけど)、世代交代で一気に進むことは間違いない。学生の間でTシャツを評価する声がかなり多くて、ビジネス界隈の大人からボコボコにやられてきた自分としては、世代間の価値観の違いを如実に感じた。あれは若いコミュニケーションなんかな。寄付付き商品としてリニューアルしようかな。

学生の感想:
→「どんな島になってほしいと考えているのか聞きたい」

私の感想:
→1.2万人いる島で自分の理想を押し付けられる訳もないけど、すでに県平均の倍の比率も外国人の方が住んでいることは立派な個性なので、強みにすればいいとは思う。児童教育、インバウンド、特産品開発、宝の山だと思ってる。ただ同時に、沖永良部島のこれまでの個性も伝えていくことが大事。出身国以前の問題だけど。そのへんは今の自分には完全に手に余るけど、ちゃんとした方々とおもしろいことができそうな予感がなくもないので、楽しみ。

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全体的に「行動力がある」というコメントが多かったのですが(7割くらいはそれだった)、これってたぶんベトナムにいたお陰だと思うんですよね。正確にはベトナムの日本人とふれあったお陰。商業都市のホーチミン市にいたからか、周りに起業家の方がめちゃくちゃ多かったんですよ。でも、行動して、なおかつ成果を上げた人たちがいれば、一方でそうではなく経営判断などで帰国された人たちを知っているから、行動力があるだけでは何にもならないと思っちゃっているんですよね。迷惑だけ掛ける場合もある。それって、地域コミュニティにおいてはより重要な話かも。

ま、こと行動力においては、学生の方にはぜひ勢いのある新興国に滞在して、日本人の方にも、現地の方にも、いろんな人に話を聞いてほしいですよね。最近はいくらでもコンタクトを取れる手段があるので。

 

以上、オトナキの水嶋でした!

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