白水社さんから出版されているドイツ語のテキスト(単語集)に、イラストを提供しました。
以前、記事で紹介したドイツ語教員のベティーナさんからのつながりで、同志社大学グローバル・コミュニケーション学部の名誉教授で、長年ドイツ語教育に携われている三ツ木道夫さんからお声がけいただいたことがきっかけ。COMIGRAMのイラストの画風を気に入っていただき、「これから作るドイツ語のテキストに使いたい」と言っていただきました。
おもしろい点が、ただ文章をイラスト化すれば良いというものではなく、「前置詞をイラスト化する」というもの。たとえば、ドイツ語で「Über」という前置詞は、原義は「上方」で、「絵はベッドの上に掛かっています」や「子供だちは道路の向こうへ行きます」などの文章で使われるもの。なのですが、そのときの視覚的イメージをイラストで表したいというご相談内容でした。
COMIGRAMのイラストを手掛けているDucさんはベトナム人で、私とのやりとりは普段は英語です。長年いっしょに仕事をしていることもあって、というよりお互いに少年マンガが好きだからか、言語を超えて感覚が共有できていると感じている。そんな中で、ドイツ語のイメージを、日本語で説明してもらって、それを英語でベトナム人に説明する、というのは、私とDucさんのコミュニケーションにおいて新たなチャレンジではありました(できると思っていましたが、普段より慎重にやる必要があるなと)。
試行錯誤の末に完成したものがこちらです。
COMIGRAMでのイラストに登場するキャラクターとは違って、日本の学生風です(笑)。私はめちゃくちゃ新鮮。
この記事を読む方でドイツ語学習者はまれだと思いますが、AmazonのURLを貼っておきます。
ベティーナさんの話では、ドイツ語を含むヨーロッパ言語の教材で、視覚的効果で言語を覚える「絵カード」にあたるものは現地の児童教育用が多いのだとか。それらは画風も、また描かれる場面も、日本人には文化的背景が異なるため、学習者にとってどうしても馴染みが浅い。だから、日本のマンガ的画風で作ることに意義がある、といったことを教えてもらいました。
それをまた(日本のマンガを読んで育った)ベトナム人漫画家が描くというのがおもしろいですよね。
もちろん、日本人が描いてもよいとは思いますが、そもそも漫画家やイラストレーターに語学教育分野のそうした課題を知っている人は少ない気がします。その点で、課題意識を持てるか持てないか、興味があるかないかは、ときにスキル以上に大切なことなんだなと思いました。
ちょっと話が逸れていっているので、このへんで!