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現場の命運を分ける「0.5秒」の壁。命を守る13カ国語の「最強の停止合図」

2025/12/27

この記事は、私、ネルソン水嶋(水嶋健)が、外国人としての8年間のベトナム在住経験と、多文化共生マネージャーとしての活動と学習で得た知見に加え、AIの助けも借りて制作した記事です。日本に技能実習生や特定技能として来日が増える外国籍の方との信頼関係構築を念頭に、誰でも・今日から使えて・汎用性が高く・各言語でよく使われるフレーズをまとめました。

 

 

現場の安全管理において、最も恐ろしいのは「想定外」の動きです。

建設現場、工場、あるいは介護の現場。どれほど危険予知(KY)活動を徹底しても、人間はミスをします。クレーンの吊り荷の下に入ってしまう、重機の死角に立つ、介助中に予期せぬ転倒が起きる――。

その「決定的瞬間」に、日本人の口から出る言葉は何でしょうか。

「危ない!」
「ダメだ!」
「逃げろ!」

おそらく、使い慣れた日本語でしょう。

しかし、その日本語では、外国人従業員の命は守れない可能性があります。

現場の騒音の中で、日本語を母語としない人が「アブナイ」という音を聞き取り、脳内で母語へと翻訳し、さらに「回避行動」という指令を筋肉に送る。このプロセスにはどうしてもコンマ数秒のタイムラグが発生します。

参考:アスリートの脳を解明し鍛える――NTTスポーツ脳科学プロジェクト

通常の会話なら問題ないその一瞬の遅れが、生死を分ける現場では「致命的な0.5秒」になります。落下してくる鉄骨や、倒れ込む身体は、決して、翻訳の時間など待ってはくれません。

人間の脳には、パニック状態や極度の緊張状態に陥ったとき、最も原体験に近い「母語」に反射的に反応するという特性があります。理屈ではなく、生存本能のレベルで脳が反応するのはやはり生まれ育った国の言葉なのです。

つまり、多国籍化する現場における最強の安全対策(セーフティネット)。それは、高価なセンサーを導入することでも、分厚いマニュアルを作ることでもありません。現場を管理する日本人自身が、彼らの母語で「止まれ!」と叫べるようになること。これに尽きます。

もちろん、日本人であれば日本語が口を突いて出るものです。多言語な職場であれば、それこそ自分自身が頭の中で翻訳している時間はないでしょう。しかし、ある程度は言語が絞れている場合や、危険が伴う作業を見守っている中でなら、用意しておくことはできます。また、安全に関する言葉については母国語を使う、その姿勢そのものが、「上司や、先輩は、自分のことを本当に心配じてくれている」というメッセージにもなるに違いありません。

この記事では、日本の労働現場で遭遇する確率の高い13言語について、一刻の猶予もない状況で使うべき「命を守るためのフレーズ」を網羅しました。

この場面においては、挨拶や日常会話は不要です。丁寧さも一切必要ありません。相手の注意を喚起し、反射的に身体を反応させるような、短く、強く、鋭い「音」を叩き込むくらいでいいでしょう。それぞれの正確な発音についてはそれこそスタッフに確認することをおすすめします。それ自体が日常会話として、また身を案じているサインとして関係構築につながります。

まずは、日本国内の外国人労働者数で最も大きな割合を占める、ベトナム語から始めましょう。

 

1. ベトナム語:鋭い声調で動きを封じる

ベトナム語は、単語一つひとつが短く、声調(トーン)によって意味が変わる言語です。緊急時に叫ぶ際は、細かい発音記号よりも「短く切る」ことを意識してください。

Dừng lại!
読み方:ズン ライ!
意味:止まれ!

「Dừng(ズン)」だけでも「止まる」という意味ですが、「lại(ライ)」をつけると「動作を完全に停止しろ」という強い命令のニュアンスが出ます。日本語の「ズ」よりも、濁音を強く、腹の底から出すイメージで発音してください。

Nguy hiểm!
読み方:グイ ヒエム!
意味:危険だ!

日本語の響きとは全く異なるため、雑音の中でも聞き分けられやすい言葉です。「グイ」を低く、「ヒエム」を高く鋭く叫ぶと、緊急性が伝わりやすくなります。

 

 

この続きを読む場合は、以下のリンク先(noteの記事)からお読みください。

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